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英語学習の中でも独学しやすいリーディングですが、かなりオーソドックスな学習法の一つに、「多読」があります。
読んで字のごとく、英文をたくさん読むという勉強法です。
時間もかかりますし、読めるようになってくるとおろそかにしてしまいがちなリーディングですが、実はリーディングで鍛えられるのは、リーディング力だけではありません。
リーディングの勉強は、リスニングの勉強にもなるのです。
今回は、そんなリーディングの勉強法、「多読」をおすすめする理由と、効果的な勉強のやり方についてお話していこうと思います。
読む力と聞く力は繋がっている
あまり知られていませんが、英文を読んで理解する「読解力」と、英語を聞いて理解する「リスニング力」は、脳内で同じような情報処理をされています。
これは脳科学や第二言語習得論の研究から分かってきたことです。
英文を読むとき、私たちはアルファベットの並びを見ています。
このアルファベットの並びが視覚から脳内に入っていき、脳が「意味のある文」と認識することによって、英文の意味を理解するのです。
リスニングの場合は、英語の音が連続して耳から脳内に入っていきます。
この音の並びが「意味のある言葉」として認識されると、英語の意味が理解できるのです。
つまり、リーディングとリスニングは、脳内の同じ部分を使って意味を理解していることになります。
リーディング勉強をすることで、リスニング力のアップにもつながるのです!
英語リーディングのもう一つの恩恵は、単語・語彙力アップです。
受験英語でもTOEIC勉強でも、語彙力アップのための単語帳が沢山市販されていますし、小さな単語カードなんていうのも売っています。
語彙力アップのための単語学習は、そういう教材を使ってとにかく暗記!というのが王道です。
ところが、そうやって覚えた単語ってなかなか「使える」ようにならないんですよね。
英会話や英作文と言った、アウトプット系の力に活きてきません。
それは、単語が実際の英文でどのような使われ方をするのかイメージしにくいからに他なりません。
その点、リーディングを通して単語を覚えていくと、英単語が文脈のどのような場面で使われているのかはっきりします。
リーディング学習中に出会った知らない単語をまとめて自分だけのオリジナル単語帳を作って勉強する方法もおすすめです。
文中に何回も登場するのに意味が分からない単語なんかは、単純に単語を暗記するよりもはるかに頭の中に残りやすくなります。
効果的な多読の方法は辞書を使わない・頭から理解する
日本人の多くは中学・高校で6年間英語を勉強していますが、学校教育で重視されるのはリーディングです。
ですから、日本人はリーディングが得意だともいわれています。
ところが、学校教育・受験勉強で習うリーディング方法は、あまり英語力アップにつながりません。
というのも、受験英語では和訳が重視されるため、英語をきれいな日本語に訳すのがよしとされているからです。
英語と日本語は語順が違うため、一度最後まで読んでまた頭から読む「返り読み」、わからない単語に出会う度に辞書で調べる。
このような方法で英文を読むことはとても効率が悪く、不自然なため脳が混乱します。
また、このやり方だとリスニング力もアップしません。
リスニングで聞えてきた音を最初に戻って理解する、知らない単語が出てくるたびに辞書を引くなんてことは不可能です。
そこで独学で「多読」をするときにお勧めするのが、英語を頭からそのまま理解する読み方です。
例えば、このような英文に出会ったとします。
The teachers union in Denver has voted to approve a strike that could begin as soon as Jan. 28. It would be the first time the city has seen a teacher strike in almost 25 years.
これを意味の通じる塊にわけて、何も考えずに頭から訳していきます。
こんな感じです。
受験英語に慣れていると、キレイな日本語にしたくなるので語順を並べ替えたくなりますが、でもそれをやると実力が付きません。
この不自然な(でも英語としては自然な)順番のまま【理解する】のです。
ビジネス英語など、コミュニケーションツールとして英語を使う場合、理解できれば問題ないのできれいな日本語にする必要はありません。
通訳や翻訳者以外、英語をきれいな日本語に訳す能力などいらないのです。
また、この頭から英語を理解するリーディング方法で、知らない単語に出会ったもいちいち辞書を引かずに、とにかく文を最後まで読み進めるクセを付けます。
辞書を引くと、意識が他の所に向かうのでせっかく頭の中に入りかけていた英文が消えてしまいます。
わからない単語が出てきたらチェックをしておき、最低でもセンテンスを読み終えてから、できればパラグラフを全部読んでから引くようにします。
多読するときは辞書を使わない・頭から理解する。
これを徹底すると英語脳が鍛えられていきます。
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多読におすすめの教材の選び方
リスニング力までアップするリーディング勉強「多読」で大切なのが教材選びです。
多読というくらいだから何でもかんでも英語を読みまくればいいかというと、そうではありません。
あまりにも専門的な単語ばかり並んでいて、使われている単語の意味が全くわからない!といったものや、特殊な構文が多い堅い文学作品などは多読に向きません。
すごい量の英語だけれど、冷静になってよく見てみれば知っている単語ばかり、というのが理想の一冊です。
つまり、自分がイメージしているよりも簡単な文章がおすすめ、ということです。
具体的に言うと、1ページあたりに多くても2つ~3つ程度、自信がない単語・見たことのない単語があるくらいが理想でしょうか。
その程度であれば、意味が分からない単語に出会ってもストレスなく英文をドンドン読み進めることが出来ますし、本の内容を楽しめる余裕も生まれます。
そこでおすすめな多読教材が「ラダーシリーズ」(IBCパブリッシング)です。
ラダーシリーズは多読のためのリーディング教材で、フィクションからノンフィクションまで、いろいろなタイトルがそろえらています。
一番の特徴は、最初級者向けのレベル1から最上級者向けのレベル5までにレベル分けされていること。
そしてそのレベルにあった、語彙数が制限された単語のみで文章が構成されています。
例えば入門レベルのレベル1だと語彙数が1000、上級者レベルのレベル4なら語彙数が2000となっています。
ちなみに最上級レベル5は語彙数の制限はありません。
ラダーシリーズのレベルとTOEICスコアや英検級数の換算表もあるので、自分の英語レベルにあった教材を選ぶことが出来ます。
まとめ
読解力だけでなく、リスニングの力までアップしてしまう多読。
英文を多読することで、英語を日本語にいちいち変換することなく、英語を英語のまま理解できるようになります。
英語圏に留学した日本人留学生でも、最初は全く英語が話せなかったけど、教科書を読みまくっているうちに自然と英語が聞こえる・話せるようになってきたという不思議な体験をしている人がたくさんいます。
これは、英語を読んで理解していくうちに、頭の中に英語回路が出来上がっていったため
リーディングは、読んでいる文章自体が社会勉強にもなり得る素晴らしい学習法のひとつです。
イメージだけで敬遠せず、皆さんもぜひ試してみてください!