受験勉強で英語の参考書と睨み合い、高校や大学に入学してからも必修で嫌々勉強していた英語。
いざ社会人になって、これでやっと英語から解放された!これからはもう日本語だけでいいんだ!
そう思って、密かに喜んだ人も実は多いのでは?
ですがそんな思いとは裏腹に、昨今では社会人の必須スキルとして名前の挙がることが多い「英語」。
自分の業務には英語なんて一切関係がないし、将来的にも英語を使うような職に就く気はない。そういうことは、英語ができる一部の人間がやっていればいいのだ。
なんていう意見を聞くこともありますよね。
実際のところ、社会人にとって英語とはどれほどの価値があるものなのでしょうか。
「必要だと思うけれど、手が出せない」とも言われる社会人の英語学習。
今回は、なぜ社会人こそ英語を学んだ方がいいのか、中堅社会人の視点からお話していきます。
三種の神器「ITスキル・コミュニケーション能力・英語」
就職活動の時期に、誰もが目にしたことのある3つの単語、「ITスキル・コミュニケーション能力・英語」
現代の就活生が備えておきたい、いわば三種の神器ですよね。
経費節減の意味も込め、ペーパーレス化が進む日本のオフィス。
まだまだ紙の出番は多いですが、それでも資料のデータ化には積極的な企業がほとんど。
一人一台以上のPCを所持するのが当たり前のこのご時世、デジタルに強い人材が求められるのは当然と言っていいでしょう。
デジタルネイティブと呼ばれる若い世代の人間ならできて当然、ある程度年齢がいっていたとしても、仕事を進める上で必須のスキルです。
そして、仕事をする以上、そこには人が集まります。
どのようなサービス、どのような商品も、顧客がいるからこそ成り立つのです。
人と集まって仕事がしたくない、と在宅ワークをしていたとしても、クライアントとの交渉など、他人とコミュニケーションを取らざるを得ない場面というのはどうしても存在するもの。
対人スキルも当然ですが、メールや電話など、顔を合わせずにするコミュニケーションのスキルも重要です。
どうせ誰かと仕事をするなら、誰だって明るくてコミュニケーション能力の高い人を好むでしょう。
オフィスでデスクを並べる同僚となればなおさら、親しみやすい人が好まれるのも頷けます。
では、英語は?
まだまだ珍しい「英語が話せる人」
日本ではもう何十年も英語学習熱が高いですが、一般的に、ビジネスシーンで堂々と「英語ができる」と言うことができる人材は限られています。
外資系企業では話が違うと思いますが、皆さんの周りに、同僚でも上司でも部下でも構いません、英語が話せる、問題なくクライアントと対応ができるという人はどのくらいいるでしょうか?
そう、まだまだ「英語ができる人」は珍しいというのが日本企業の現状なのです。
ですが、日本の人口は減少傾向にあり、市場も海外を見据えています。
また、オリンピックを控えて観光客の増加によるインバウンド需要(外国人が日本でする経済活動への需要)も高まっています。
移民の受け入れも積極性が見えていますよね。
考えれば考えるほど、これからどんどん、日本語以外を母国語に持つ人間を相手に仕事をしていく機会は増えていくのです。
ですが、そこに対応することのできる人材は実は不足しています。
需要と供給のバランスが全くかみ合っていないのです。
だからこそ、英語が話せる人材は企業から「求められる」のです。
ここには、数値化しやすいという英語スキルの特徴も一枚噛んでいます。
英検やTOEICをはじめとして、英語は客観的な習熟度を分かりやすいかたちで他人に見せるチャンスに恵まれています。
スコアが何点以上で、資格で何級以上で、などの線引きがしやすく、難易度もイメージしやすいことから、評価の基準を作りやすいのです。
ITスキルはMicrosoft Officeの資格試験は存在していても、その他に関してはなかなか数値化が難しい部分が多いですし、タイピングの速度なども人それぞれ。
日頃どれだけ使用しているか、など生きた知識を持っているのかどうかは他人が判断しづらい面が多いですし、コミュニケーション能力に至っては数値化などまず無理な相談でしょう。
反面、英語は豊富な資格試験で自分の実力を数値化することができるので、アピールも容易に行うことが可能です。
人材を評価する立場から見ると、目に見えないスキルも重視するのは当然ですが、誰の目にも明らかな「評価できる点」があるととてもありがたいのです。
実力を裏付けする称号があることは、すなわち昇進・昇給のチャンスに直結します。
企業によっては、一定ランク以上の資格を取得することができた場合には資格手当を出すなどして、社員の英語学習へのモチベーションアップを図っているところも珍しくありません。
もちろん、英語が出来る「だけ」では、社会人としてはダメでしょうけど。
確実に訪れるステップアップのチャンス
「でも、今の勤め先には英語を使う部署なんてない」
そんな声もあることでしょう。
ですが、今後必ず、日本語だけでは掴めないチャンスが目の前に飛び込んでくる機会も出てくるはず。
場合によっては、勤務先の企業がが遅まきながらも海外進出を決定し、英語を使える人材を募ることだって想像の範疇でしょう。
そんな時、英語が話せるだけの新人と、これまで勤めてきた経験があり、なおかつ英語も話せるベテランと、どちらが優遇されるかは言うまでもありませんよね。
海外支社を、なんて話が出た時に、英語ができないというだけの理由でチャンスを棒に振るのは勿体ないとは思いませんか?
「あの時英語ができれば」なんて後悔はしたくないですよね。
英語が必要になるときは突然やってくる
大学受験ならいつ試験があるか、事前にわかっているのでそこに照準を合わせて勉強すればいいですが、社会人の場合、突然英語が必要になる時がやってくる場合があります。
私は30代中堅サラリーマンですが、私の場合、ほとんど準備する間もなく長期海外出張を命じられました。
私が日本で立ち上げたプロジェクトを、今度は海外で展開しよう!という話が持ち上がり、当然のことながら私がそのまとめ役を任されることになったのです。
社会人になってからの英語なんて、TOEICの勉強をちょろっとやったくらい。
当然全く英語が話せませんでした。
でも社の命令で、1か月後にインドネシアへ出張です。しかも期間は2週間。
それを皮切りに私は2ヶ月に一度はアジアへ長期出張に出るようになりました。
一応現地の通訳が付きますが、やはり当人同士で直接コミュニケーションをするほうが信頼関係が高まります。
私は日本にいる間に必死で英会話を勉強しましたが、勉強中常々思っていたのは、
「もっと時間があるときに英会話をやっておけばよかった!」
という後悔の念です。
繰り返しますが、社会人の場合、英語が突然必要になることがあります。
そして残念ながら英語は短期間で伸ばしにくいスキルでもあります。
今必要ないからと言って、将来はどうなるかわかりません。
英語は一番身近な自己投資!
今から始めておいて損はありません。
まとめ
ほとんどの人は中学・高校と最低6年間英語を勉強しています。
皆さんには学生時代に触れた英語の「貯金」が間違いなく残っています。
今までに一度も触れたことが無い、という人より、確実に有利なスタートポジションに立っているのです。
英語は、最も身近な「未来への投資」。
まずは一歩、足を伸ばしてみるのはいかがでしょうか?